オランジュリー美術館は、パリで一番好きな美術館になった。
モネの『睡蓮』が、壁一面にグルリと一周するように飾ってあり、天井には窓があって、優しい自然光が差し込んでいた。無駄なものは一切排除し、睡蓮と自然光だけの空間だった。
なんとも言えない淡いピンク色は幻想的で、運の良い時に見る夕方の夕焼けのようだった。
真ん中にあるベンチに座った。日によって違う姿に映る睡蓮を、描き続けたモネを想った。
ポンピドゥセンターも、この旅の前から行こうと決めていた美術館の一つ。現代アートを中心に展示している。
何と言ってもこの工事中みたいな外観が特徴的。かなり斬新。
建設当初は、デザインがあまりにも斬新で、歴史的建造物が立ち並ぶパリの街並みにそぐわないと批判もあったらしい。
美術館の中は、倉庫のように広い空間が贅沢に使われていた。
ただキャンバスを真っ青に塗った絵が印象に残っている。
マイケルジャクソンを模した人の写真、入れ歯を詰め合わせたオブジェ、人の足とブランコのオブジェなどなど、ナニコレ…という面白い作品ばかりだった。
高層階からは、パリの街並みも見渡すことができた。
ポンピドゥセンター前の広場には、自分で作った作品を売っている人や、パントマイムをしている人々もいた。
道端で表現することが自由なのが、パリのいいところ。
「厳しい文化施設のイメージを破壊したかった。これは芸術と人間のこの上なく自由な関係の夢であり、同時にまた、街の息吹が感じられる場である」
by レンゾ・ピアノ(ポンピドゥセンター建築に携わった建築家)