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旅の記録

Bornholm

デンマークの暮らしももう終わる頃、Bornholm島へ行った。

学生たちが集まって、政治の話を聞くお祭りに参加するためだ。

 

Bornholm島は、スウェーデンの近くにあるので、そこで過ごす人々は、独特のデンマーク語訛りがあるという。

 

Bornholm島に行くために、まずはバスでスウェーデンまで出て、そこからフェリーに乗り継いだ。フェリーがあまりにもグラングラン揺れるので、気持ち悪くなって、最悪の気分で島に着いた。

着いてからは、重い寝袋とリュックを担いで、キャンプ場まで向かった。森の中の美しいキャンプ場を想像していたけれど、着いたのはただの芝生が広がるフィールド。デンマーク各地の学校からきた学生たちの小さなテントが密集していた。そこにひとつの小さなテントを張り、数日過ごした。

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次の日、朝起きるとくしゃみが止まらない。デンマークに着いてから花粉症が治ったと思っていたが、6月になって初めてアレルギーの症状が出始めた。同じく周りの友達もずっとくしゃみをしていて、一緒に薬局で薬を買った。Bornholm島には特殊な花粉があったのだろうか。

 

政治のお祭りとは言え、日本みたいに堅苦しくない。いろんなブースがあり、そこで好きな政治の話を聞ける。出店もあり、フリービールがあったり、ミュージシャンが気持ちよさそうにライブをやっていたりした。

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日常と政治が融合している感じが心地よい。意見が違ったって、それをただ”私はこう思う”と伝え合い、そのあとは一緒にビールを飲む。そんな感じ。学校にいたときも、すぐにみんな政治の話をした。ついていけていない自分に情けなさを感じたこともあった。

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キャンプ中には、デンマークレソトの農業のつながりの話や、Gender Equalityの話を聞いた。Gender Equalityに関しては、オーストラリア・ポーランドノルウェーの政治家が、小さい時に持たせるおもちゃなど、いろいろな場面からジェンダーに関する偏見は始まっていると、言っていた。

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Bornholmの夏は暖かく、海に強い日差しが反射して、キラキラと光っていた。海沿いの岩の上に寝転び、波の音を聴きながら、日差しを感じていると、いつの間にかすやすや眠っていた。基本的に私はどんな環境でも眠れるけれど、ゴツゴツの岩の上でも眠れてしまうなんて、自分に驚いた。

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滞在中は、簡易シャワーと簡易トイレを使い、小さなテントで2人で生活。しかも土砂降りの日があり、小さくて簡単なテントだったので、芝生の雨水がテントの中まで染み込んできて、もう、嫌だ。帰りたいとも思った。今になってみれば全ていい思い出だ。

 

最後に、Bornholmで出会った羊たちの写真で終わり。島が一気に人でいっぱいになり、びっくりしただろうに。

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また会う日まで。Vi ses, Bornholm.

 

Flensburg

フレンスブルク。デンマーク滞在中に何度も訪れた街である。

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フレンスブルクの街中は、鮮明に覚えている。このお店ではこれが買えて、これが必要ならここ!というように。

 

私が滞在していた学校は、デンマークの田舎、フィヨルド沿いにポツンとあった。唯一のお店、小さなAnnie's Kiosk(ホットドッグやアイスクリームが買える)まで徒歩約30分だった。

学校はデンマークの最南に位置していたので、ドイツのフレンスブルクまではバスで25分くらいで行くことができ、デンマークに比べて、物価が安いので、何か必要なものがあるときは、大体フレンスブルクに出かけた。近くのいちばん大きな都市だったのもあり、出かける時はいつも気分が高鳴った。

 

最初のフィルムカメラを買ったのも、フレンスブルクだった。学校でアナログ写真の授業をとることになり、カメラを買いに、フレンスブルクの骨董品屋に寄った。Made in West Germany と書いてある、Voigtlanderの小さなカメラを見つけ、これ使えるのかな?とお店のおばちゃんに尋ねた。主人が詳しいから帰ってくるまで少し待っててと言われ、また改めてお店に出向いた。おじちゃんはカメラについて色々と説明してくれた。その後、数ヶ月はVoigtlanderのカメラで写真を撮った。シャッターが壊れてしまったので、今は引き出しに眠っている。今でもフィルム写真は撮り続けているけれど、最初にVoigtlanderで撮った写真には敵わない。

 

ドイツではまだフィルムを現像してくれるお店が多くあり、フレンスブルクの小さな薬局でも現像することができた。その手順が面白く、必要な書類を書いて袋に入れてフィルムを出すと、1週間後くらいにお店に行けば、現像された写真が封筒に入って、ずらりと並んでいる。それを自分で勝手に取っていく。他人の封筒を間違えて持って行っちゃう人もいそうだけど、その辺の自己責任感が、日本と違う。

 

フレンスブルクは、ビールも有名だ。Flensburgerという可愛らしい瓶に入ったビールは、苦味もありつつフルーティーで美味しい。デンマークでよく飲むのは、Tuborg(あっさりしていて、あまり美味しく感じなかったが、北大路魯山人は絶賛したらしい)というビールだったので、Flensburgに行ったときのたまの贅沢として飲んだ。

 

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この右側の。可愛い。

 

12月には、クリスマスマーケットにも訪れた。シナモンの効いたグリューワインを飲み、暖かい身体で、ルンルンしながら街を歩いた。

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土日にはメイン通りの所々でストリートミュージシャンが音を奏でる。冬はデンマークに比べても少し寒いけれど、住みやすそうな、素敵な港町だ。

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いつか戻ったら、あの店と、あのカフェに行こう。

 

また会う日まで。

 

Aachen

Aachenには、2018年の5月に訪れた。

 

ドイツのAachenは、ベルギー・オランダと接している。ベルギーのフランス語圏と接していることもあり、フランス文化の影響も受けている。また、ローマ帝国の時代から、温泉保養地としても発展してきた都市である。

 

デンマークの学校からAachenまではバスで向かった。休憩を挟みつつ、10時間の長旅だった。A&Oホステルというドミトリー式の安い宿に泊まった。

 

道沿いに背の高い木がずらりと並ぶAachen。その背の高さからも歴史を感じることができた。

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世界遺産にも登録されているAachener Dom(アーヘン大聖堂)に、昔は多くの人々が訪れ、入ることさえ大変だったという。小さなタイルで綿密に装飾された壁を眺めた。ステンドグラスはパリのサント・シャペル教会を真似て作られたらしい。

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ホステルから2時間くらい歩き、ベルギー・ドイツ・オランダの国境へ向かった。なんとなく歩いてたらお隣の国に行ける感覚は新鮮だ。

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シュニッツェルが食べたくて、レストランを探しながら友達と歩いていると、なんとも怖い体験をした。自転車に乗っているお兄さんが話しかけてきて、日本語が好き、日本人が好きだという。ずっと無視をし、怖いのでお店に入ると、なんとお店の中までついてきた。なんとか振り払い、たどり着いたレストランで食べたシュニッツェルはこちら。

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なんかおしりみたい。

 

なんとそのお兄さん、翌日に教会の見学をしてる時にまた現れた。怖いので、強面の先生にお願いして追い払ってもらった。1人の時じゃなくてよかった。1年くらい海外にいたけれど、怖い体験はこの1件くらいだ。

 

Aachenでは、他にも美味しい料理をたくさん食べた。

 

Aachenに旅行しようと思っている人におすすめのお店↓

・AKL Libanesisches Restaurant

レバノン料理のお店。ここに行き、レバノン料理って、こんなに美味しかったのかと知った。Aachen滞在中、2回は行ったと思う。

www.akl-orient.de

 

・Van Den Daele Cafe

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可愛らしいケーキがたくさん並んでいるのを見るだけでもワクワクするカフェ。ケーキも美味しいうえに、歴史の感じられる店内でほっとひと息つける。なんと1890年にペストリーショップをオープンしたのが始まりだという。

www.van-den-daele.de

 

 

それでは、Aachen、また会う日まで。

 

Skagen ③

 

最終日

 

お昼頃Skagenの小さな街を歩き、ピザを買った。レストランの人にお願いして、ブランケットを借り、ビーチへ向かった。

 

白い砂浜に、高波の音、サラサラと揺れる草、美しかった。五感で全てを感じながら、ブランケットに寝っ転がって穏やかな時間を過ごした。

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太陽の光を全身に浴びると元気が出る。こんな瞬間が人生で何度となく作れるのなら、日焼けなんて構わないと思う。

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ピザを食べて、Skagenの最北端、バルト海と北海のぶつかるGrenenという場所に向かった。歩くこと1時間ほどで、Grenenの駐車場に到着し、カフェでひと休み。

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一緒に歩いた友達は、歩き疲れたのでここで待ってると言う。そこからは1人で最北端のポイントまで向かうことになった。そこからも最北端までは意外と距離があり、砂浜の上を一歩一歩踏ん張って歩いた。

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到着。

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思っていたよりも優しくぶつかり合うバルト海と北海。波の表面が不思議な動きをしていた。

 

 

頑張って歩いたのに、砂浜の上を動くバスがあることにここに来てから気がついた。帰りはそのSandsnakeというバスに乗って、友達の元に戻った。帰りが遅いことを心配をしていた友達は、私を見つけてほっとしたように手を振った。

 

帰りは、駐車場から街へ帰りそうな人に声をかけ、Skagenの街まで車で送ってもらった。優しいな。

 

食べきれなかったピザの箱を持ち、日が暮れる前にSkagenから電車に乗った。

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何度も乗り換え、学校の近くのドイツの街、Flensburgの駅に着いたのは真夜中の2時近く。学校の友達がそんな夜遅くなのに駅まで迎えに来てくれた。

 

 

学校に着くと、部屋ではルームメイトがいつものように、うつ伏せで眠っていた。そっとベッドに入り、深い眠りについた。

 

 

Skagen ②

次の日、朝ゆっくり起きて、Skagen Museumへ向かった。泊まっていたお家からすぐのところにあった。

 

もともとは宿の食堂に絵を集めたところから始まったという美術館。デンマークスウェーデンの芸術家の絵が集められている。(スケーエン派)とも呼ばれる。

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始まりの、食堂だった1室。

 

画家は、Skagenで見られる特別な光を求めてやってくるという。

デンマーク最北端の街、スケーエンの海沿いからは、どこまでも続く海と空が見える。

 

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日が沈んだ直後くらいの、淡い柔らかな空と、荒い波が描かれている作品が多くあった。画家たちは、海に沈む夕日を眺めながら、その美しさに取り憑かれていたのかもしれない。

 

そのあと、あまりにも強い太陽の光に眉を顰めながら、とある教会の跡地へ向かった。

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乾燥した野原を歩いていると、ヘビの巣であろう穴がたくさんあった。少しヘビに怯えつつ、歩いて、歩いてやっと辿り着いた。

 

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スケーエンに行こうという話になった後、インターネットでなんとなく街について調べていた。目に入ったポツンと佇む姿に虜になり、ここだけはどうしても訪れたいと思っていたのだ。

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スケーエンは、18世紀後半に砂漠化が進み、村が砂で埋もれてしまった過去がある。その際に、ここにあった教会も、入り口が砂で覆われてしまい、人々が入れなくなってしまった。

 

そこで教会は取り壊され、今残っているのは、塔の部分だけ。1300年代に建てられたと言われており、スケーエンで最も古い建物である。

 

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真っ白な塔が、ポツンと佇む姿を眺めながら、マチルダココアを飲んだ。甘いココアが、歩いた身体に沁みた。

 

 

 

続く…

 

 

 

 

Copenhagen→Skagen

 

コペンハーゲン3日間も終わり。これからデンマークの最北端の町、Skagen(時計のブランドで有名なあの町、デンマーク語ではスケーエンと呼ぶ)へ向かう。

朝早くに友達のママが、泊まらせてもらっていたおじさんの家まで迎えに来てくれ、バス停まで送ってくれた。

 

コペンハーゲンの友達とはここでしばしのお別れをし、もう1人の友と出発。

道のりは長く、2時間くらいバス→フェリーに1時間→AahusからAalborgまで2時間半バス→Aalborgから電車に乗り、Frederikshavnという駅で乗り換え、目的地のSkagenまで約6〜7時間程かかった。

道中に食べたプラムは甘くて美味しかった。

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Frederikshavnで電車を待つところ。

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デンマークには新幹線のようなものがなく、移動に時間がかかる。国の大きさが日本の九州くらいしかないから、それでもいいのかもしれない。

 

ゆったり車窓から外を眺めると、植物が、だんだんと背の低い乾燥したものに変わっていった。

Skagenに到着。

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わざとなのか?というくらい綺麗にSが斜めになっていた。

 

 

まずスーパーで果物、レンズ豆、ビール、パスタを買い、Airbnbで予約してあったお家へ向かう。おばあさんが住んでいる家の、2階の部屋は、写真で見ていたよりもかなり狭く、タバコの匂いが充満していた。

 

パスタを買ったものの、部屋にあるのはケトルのみ。ケトルにパスタを入れて茹でるという強行突破をして、詰まったパスタが取れなくなり、友達と爆笑した。

 

狭いベッドに寄りかかり、ビールを飲みながら日々のあれこれを話しているうちに、眠ってしまった。

 

続く…

 

 

Copenhagen ②

コペンハーゲン2日目。

美しい美術館に出会った。その名はGlyptoteket。

絵を描くのが好きな友達が連れて行ってくれた。中に入ると、天井がドーム型になっていて、植物が生き生きとしていた。その合間に麗しい彫刻が見えた。美しさに息を呑んだ。

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その時は「perfect pose」という展示が開催されており、古代の美しいポーズをした彫刻像を見ることができた。

 

鼻のとれた顔と、集められた鼻

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踊り子

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この植物園のような美術館は、パリのオランジュリー美術館と並び、私のお気に入りの美術館となった。

 

 

街を歩き、午後はcanal boatに乗った。コペンハーゲンと言えばあのカラフルな建物が港に並んだ写真をイメージする人が多いのではないか。

その名所を海の上から眺められる観光客向けの船上ツアー。

 

ボートを待っている時間、港のデッキに腰をかけ、友達が私の絵を描いてくれた。

少し強すぎるくらいの日差しに照らされ、海の上からコペンハーゲンを眺めて、私は今コペンハーゲンいるのだということを改めて実感した。

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海沿いは、楽しそうにビールを飲みながらおしゃべりをしている人々で溢れていた。

 

 

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夜は、友達の家族がご飯をご馳走してくれた。オレンジ色の火が灯されたキャンドルの並んだ食卓で振る舞ってもらったラザニアが、すっごく美味しかった。

 

庭でニワトリが、コッコッと鳴いていた。

 

 

続く...